ならそれでいいです

そろそろ優勝したい

今年の呪い今年のうちに~2016年マイベスト(小説と音楽編)~

皆さん知ってます?もう終わるんですよ。えっいや僕が終わるんじゃなくて2016年もそろそろ終わりですねって話です。

というか僕はもう終わってるんで。今少し長めのエピローグなんで。

 

で、年の瀬なんで今年一年起きたことを振り返ろうかなあと思ったんですが

 

・去年の9月にギターがいなくなって以来長らく放置していたバンド活動を再開した(岩井を始めとしてみんな本当にありがとね)

・挫の手伝いをやり始めた

 

めっっっちゃ頑張って絞り出してこの2つしかなかったですね。

前者はギリギリ人権与えられそうなんですけど後者なんか実際は友達とわちゃわちゃしてるだけから実質1つ。僕の2016年は限りなく虚無に近かったことがお分かりいただけると思います。

 

で、じゃあお前この365日8760時間まともに人間やらずに何してたんだという話になるんですが、そこそこの量の漫画と小説を読んで少し映画と音楽を鑑賞していたんですね。

ブログを開設した2月の時点で再読込みで漫画200冊小説150冊を読むという目標を立てていたんですが、僕が世界一雑につけている読書メモによると漫画は今月上旬の時点で250冊を突破、小説はつい先日読んだ「消失!」が80冊目ということで漫画のみ達成できたようです(メモは本当に雑なので信憑性はクソ低い)。

消失! 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)

消失! 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)

 

まあ目標達成率こそ50パーセントですが音楽と合わせると他人様の創作物しゃぶることに結構な時間を注いでたということになるわけで、じゃあ聴いたもの読んだもの振り返れば2016年の総括も出来るんじゃないかという考えに至ったんですよね。

 

というわけで年末スペシャル。今日と明日投稿する2記事に渡って今年触れたものから選りすぐった様々をお伝えしていきます。

摂取した分量的にどうしても漫画が多くなってしまうので、前編となる本日はそれ以外を取り上げようと思います。まあ要は音楽と小説ですね。

 

と、紹介に移るまでの前置きがとにかく長い。俺という人間の面倒な部分が出まくっていますね。お世話になってます。

 

小説

 

というわけでまずは小説から。

小説に関してはほとんど新刊を読まない(特に理由はないです)ので「今年初読したもの」から紹介していこうと思います。

この制約に関心のある人、存在するのか?

 

竜が最後に帰る場所 / 恒川光太郎 

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

 

今年の前半は恒川光太郎ばかり読んでいましたね。久しぶりに自分と波長がぴったり合う作家を見つけられて嬉しい限りです。

デビュー作にして一番有名だろうと思われる「夜市」ももちろん最高なんですが、個人的には一作選ぶならこれですね。

 

氏の持ち味である幻想的な雰囲気を持った全5作を収めた短編集なんですけど、個人的なお気に入りは「迷走のオルネラ」。

これでもかと詰め込まれた悪趣味な要素と、人間の業を思わずにはいられないラストが、作中作のファンタジックな味わいと合わさってなんとも言えない余韻をもたらします。

 

「鸚鵡幻想曲」なんかは出だしの部分から強烈に興味を惹かれる設定が飛び出してきて良いですね。

氏の作品はありがちな設定に一捻り加えて全てを反転させるようなものが多いように思うんですが、本作に収録されているそれぞれのお話は一体どこから思いついたんだというものばかりで、さながら奇想博覧会といった様相です。

 

ファンタジーが好きという方にも、少し変わったお話が読みたいという方にも気に入ってもらえる一作ではないでしょうか。恒川光太郎入門としても最適だと思います。超オススメ。

 

 

扉は閉ざされたまま / 石持浅海

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)

 

犯人の目論見を冷酷なまでの推理力で看破していくぶっ飛び女、碓氷優佳を探偵に据えたミステリシリーズの第一作。クローズドサークルものの名手である作者の腕が存分に発揮された一冊です。

犯人が犯行を犯すところから物語が始まる倒叙ミステリの形式をとっている本作ですが、犯人の視点から徐々に迫ってくる優佳を見ているとどっちが悪役なのか分からなくなってしまうぐらい、本シリーズの探偵は怪物的でそれゆえに痛快です。

 

ちなみに本作を読んだ知人から「動機がよくわかんねえ」「登場人物の倫理観どうなってんの」という意見があったんですがミステリに倫理観なんか期待すんな!と思いました(暴論)。

まあ確かに少し異常な論理が出てくることは確かなので、その辺を気にしないという方にオススメです。人が死ぬ話、最高~~!! 

 

 

コレクションズ / ジョナサン・フランゼン

コレクションズ (上) (ハヤカワepi文庫)

コレクションズ (上) (ハヤカワepi文庫)

 

今年自分へのお年玉的なアレとして買ったやつですね。

皆どこかしらぶっ壊れてる家族のドタバタを、それぞれの抱える問題にフォーカスを当てながら一つのゴールまで結ぶように描いた笑い成分多めの小説です。

 

読み始めてちょっと苦手そうなノリだなと思っていたんですが、次第に止まらなくなって上下巻一気に読破してしまいました。

悲惨な状況をコミカルに描くことで読み手には負担を掛けずにその悲惨さを強調するような作者の筆力に脱帽します。

 

 

アメリカの鱒釣り / リチャード・ブローティガン

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)

 

読み返した回数では今年一番なんですけど、如何せん人に紹介するとなるとどうしたものか困惑してしまいます。

感覚で読むタイプの本ですので、事前情報ナシで頭をまっさらにして楽しんでもらいたいなと思います。

 

この「アメリカの鱒釣り」という掴みどころのない、へんてこなタイトルに関心を持った人なら気に入るかもしれません。是非読んでみてください。

あとこれを気に入ったという人は僕と仲良くできるかもしれませんね。なんというかそういう本なんです(後日知人全員から「アメリカの鱒釣り、クソおもんなかったわ」という言葉とともに絶縁状が叩きつけられ、死ぬ)。 

 

 

ヨハネスブルグの天使たち / 宮内悠介

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)

 

超面白SF短編集こと「盤上の夜」でデビューした作者の第2作。前作に負けず劣らずの素晴らしい一冊でした。

近未来の南アフリカ、アメリカ、アフガニスタン、イエメン、日本で起こる様々な出来事を歌唱用ホビーロボット(実体のある初音ミクみたいなもん)DX9で結んだ短編集なんですけど、SF要素と哲学要素と宗教要素が合わさったオタクにはたまらない内容になっています。

 

説明が足りないのかちょっと読みにくい部分が目立ちような気もするんですが、謎の熱量でもってして一気に読ませられてしまいました。

とくに最後の「北東京の子供たち」でそこまでの世界と時代を横断した壮大な物語が読書の手の届く範囲に着地していくような感覚は、本書特有のものではないかなと思います。

普段読書をしないという人やSFが苦手だという人には薦めにくいですが、強烈に惹かれるものがあるのも確かなのでガッツリと向き合う気持ちで読んでもらいたいです。

 

 

とまあこんな感じですかね。

新刊でいうと「いまさら翼といわれても」はとても良かったですね。これについては以前のブログでわあわあ語ったので今回は省きました。

今年はミステリを多めに読んだ一年だったかなと思います。やはり手軽で合間合間に読み進められるのでつい手に取ってしまいますね。 

 

で、そんな中で今年のベストはと言われると

 

七つの海を照らす星 / 七河迦南

七つの海を照らす星 (創元推理文庫)
 

こちらになります。実は読んだのは1週間前とかです。

児童養護施設『七海学園』を舞台に、そこの職員である北沢春菜をワトソン役的主人公、施設をたびたび訪れる児童相談所の職員海王を探偵役(これらの呼称が正しいかと言われると微妙なところですが、便宜上こうします) に据えた全7話からなる短編連作の形式をとった鮎川哲也賞を受賞した作者のデビュー作です。

 

ミステリとして見ると6話までに配置されたそれぞれの謎は小粒なんですが、舞台設定の特殊さとそれをこちらが受け入れやすいように丁寧に描かれているのもあってかジャンル不特定のような不思議な印象を受けます。

小粒ながら独特の後味を残す6話までも良く出来ているんですが、そこに散らばった欠片を片っ端から回収していく7話の爆発力は凄まじく、思わず笑ってしまいました。

 

そして7話で登場した駅伝の意味に気付いたりして「いやあ面白い本だったな」となってから本記事の執筆に入ったんですが、その時点ではまだ「竜が最後に帰る場所」がベストだったんですよね。

ですが記事書き始めてから読んだ続編の「アルバトロスは羽ばたかない」がチョベリバにも程がありすぎて合わせ技一本で本作が優勝しました(日本人なので柔道ルールを採用しました)。

「アルバトロスは羽ばたかない」についてもあれこれ書きたいんですが、ミステリというジャンルの性質上チョベリバ以外の表現を使うとネタバレしてしまいそうなのでチョベリバと言うにとどめておきます。2作合わせて読んでください。

アルバトロスは羽ばたかない

アルバトロスは羽ばたかない

 

とにかく横に吹っ飛びました。小説を読んでいて横に吹っ飛ぶことはあまりないので本作が優勝ということになります(漫画や音楽では度々吹っ飛ぶ。小説はじんわり感動する)。

 

段々語彙が衰えてきたのでこの辺で締めますが、2016年マイベスト、小説編は「七つの海を照らす星」「アルバトロスは羽ばたかない」でした。

これと「竜が最後に帰る場所」は本当にオススメなので、みなさん是非読んでみてください。

 

音楽

 

今回の記事では一応メインということになります。まあ音楽をやっているという顔をしながら日々細々と生活を営んでいる人間(「バンドマン」に代わって僕が考え出した表現です。音楽で主収入を得られないボンクラどもはかっこつけるのをやめてこういう風に名乗れ)なのでそこそこそれっぽく書きます。

今年リリースされたアルバム単位での紹介で、収録曲が聴けるYoutubeのリンクも貼ってるので聴きながら読んでください。ではいきましょう。

 

Car Seat Headrest / Teens of Denial



みなさんパンクロックって好きですか?僕は中学生のときからずっと夢中です。

ただ、最近『パンク』を掲げて出てくるバンドはやはり時代的にポストハードコアやメロコアの影響が強かったり、あるいはそれらへの嫌悪感の裏返しからか過剰に懐古主義的な面が強すぎたりであまり好みではありませんでした。

その点このウィル・トレドによるソロプロジェクトは本当にちょうどいい。ルックスもTHEオタクという感じで最高。

 

90年代のUSオルタナが好きな人にはプロデューサーがスティーヴ・フィスクっていう時点で聴け!と言いたくなりますね。

アルバムの内容もオールドなパンクからその影響を受けたシアトル勢までの色々な衝動を上手く自分の手足として使っていて非常にグッドです。やっぱり弱そうなやつが全力で背伸びしてるの見ると心揺さぶられるものがあるなと思いました。

新しいことはやってないはずなのになんだか聴いたことのないようなへんてこな音楽で、メロディなんかはかなりポップなので普段このへんの音楽を聴かない人も気に入るんじゃないでしょうか。オススメ。

ティーンズ・オブ・ディナイアル

ティーンズ・オブ・ディナイアル

 

 

Wilco / Schmilco


出不精の僕が来日公演観に行くぐらい大好きなバンドの新作。

2000年代前半から続けていたスケールの大きな楽曲を作ることをやめたのかな、そして地味なアルバムだなという印象だった前作がワンクッションだったことがよくわかる素朴で素敵なアルバムです。

彼らのルーツであるフォークやカントリーに根差した歌を中心に据えながら、これまで取り組んできたエレクトロニカやポストロック的要素を味付け的に添えたとてもバランスの良い一枚だと思います。

個人的に世界一のギタリストだと思っているネルス・クラインが少し控えめなところは残念に感じなくもないんですが、そういった派手な部分が抑えられている代わりに何度も繰り返し聴ける仕上がりになったとも言えるのではないでしょうか。明るい時間帯のお散歩の友にしたいアルバムですね。

Schmilco

Schmilco

 

 

The Lemon Twigs / Do Hollywood



以前のブログでも取り上げたレモンツィッグス。今年の新人では一番お気に入りです。

コード進行だとかメロディだとかコーラスワークだとかは完全に60年代マナーに則ったものだと思うんですけど、とにかくアレンジがやりすぎなぐらいやりすぎで最高ですね。おもちゃ箱度は今年一番だったと思います。おもちゃ箱度ってなんですか?

 

ここ最近のビートルズフォロワー的な場所から出発したバンド(テームインパラとか)は次第にシンセとかエレクトロな方向に行っちゃう傾向にある気がするんですが、彼らにはぜひともアナログ方向で活動を続けていってほしいところですね。

 ロックバンド的な逞しさとベッドルーム的なごちゃごちゃ感と子供の無邪気さとが同居したまさしくデビューアルバム!という感じのフレッシュな一作です。

Do Hollywood

Do Hollywood

 

 

 

Mitski / Puberty 2


もうこの曲のサビでグッとくるか否かじゃないですかね。そうやって問答無用に聴き手を両断するようなパワーのある曲だと思います。

アルバムを通して聴くと意外と(?)音楽性も多彩で、この日本とアメリカのハーフ女性(活動拠点はニューヨーク)が両国の音楽に影響を受けて育ったという話にもなんとなく納得するところでもあります。

まあでもとにかくこの「Your Best American Girl」を聴いてどう感じるかだと思います。この曲が気に入ったらアルバムも気に入るはずですので。

PUBERTY 2

PUBERTY 2

 

 

Brodka / Clashes


ポーランドでは超人気(らしい)モニカ・ブロトゥカ氏の世界デビュー作。金子に教えてもらいました。

世界一雑に紹介するとビョークがアポトキシン4869飲まされたみたいな音楽性(我ながら0点の紹介。これで興味持つ人いないだろ)。

向こうのスター発掘オーディション番組みたいなのから出てきた人らしいんですけど、ポーランドはこんなぶっ飛んだポップスが主流なんですか(絶対違う)?テラスハウスに出てた良くわかんねえブスメジャーデビューさせてる場合じゃねえぞ日本!!

 

貼ってあるリード曲のアウトロのファズギターに象徴されるような舐め腐ったアレンジ満載で最高に笑える一作です。PVも可愛いやオシャレのギリギリを攻めてきていて、受け手のリテラシーが試されているような気さえしてきます。

あとあんまりこういうことは言いたくないんですけどブロトゥカ氏めっちゃ可愛いですね。これで29歳ってどういうことなんですか。

メロディを始めとした音楽の骨格が僕らの知っているそれとは明らかに違い、完全に第三世界からやってきた化け物という感じがして怪獣映画を観たときのような驚きがあるアルバムです。

Clashes

Clashes

 

 

まあこんなとこじゃないですかね。面白味が無さ過ぎる気もする。

お前一応バンドマンなのに少なすぎるだろみたいな声が聞こえてきそうですけど、実際今年は新譜を聴く機会がめちゃ減ったしその中で繰り返し聴いたとなるともうこんなもんになっちゃうんですよね。

ボン・イヴェールとかジェイムス・ブレイクとかは正直好みじゃないし、去年からずっとめちゃくちゃ流行ってる黒人のR&B的なサムシングも引っかからないんですよねえ。カニエは好きなんですけどアンダーソン・パクとかはイマイチでした。

 

邦楽に関してはもっとアレで新譜何聴いたか全然思い出せないレベルなんですよね。



サコヤンの復活はクソ嬉しかったので来年は是非アルバムリリースしてほしいなと思います。この人の歌詞は気怠さと物悲しさと日常に見え隠れする感動を上手く拾い集めていて本当に素晴らしいですね。

あとは友達が良いアルバムを作っていたのでそれで満足した感じもあります。

 



僕らも来年の早い時期にレコーディングする予定なんで良いもの作りたいところですね。まあ誰かと競ってるわけでもないのでマイペースにやっていきましょう的な。

 

でまあ、こんな感じだった僕にとっての2016年の音楽なんですがじゃあベストは何よって言われると

 

David Bowie / Blackstar


まあこうなっちゃうんですよね。ベストというかなんというか、今回紹介した他のアルバムはみんな「良いアルバム」で、これは「凄いアルバム」なので比較しようがないという感じです。

もう僕が解説するまでもないと思うんですが、ボウイの遺作となった本作は彼が生涯創意工夫をもって音楽制作に取り組んでいたこと、そしてそれがどれだけ困難かつ素晴らしいことなのかを改めて僕たちに知らしめるアルバムとなったんじゃないでしょうか。

 

可能な限り外部情報は考慮せず、CD一枚の内容を受け取るべきだというのは分かっているんですがどうにも無理ですね。

音楽的にいくらでも語れるところはあるんですけど、なんだか野暮な気さえしてくるのでやめときます。一言で言うならジャジーでかっけえ!!とかですかね(低偏差値)

休止期間を挟みながら50年以上最前線で活動していたボウイが自らの老いや死すらも作品に昇華していることの凄みが感じられる、必聴の一枚だと思います。

亡くなったという実感がまだ湧かないので、星に還ったのだと思うことにします。お疲れさまでした。

Blackstar

Blackstar

 

 

 

というわけで2016年マイベスト、音楽編はボウイのブラックスターでした。

ちなみに本作は年始に発売されたこともあり、この記事を書き始めるまで去年のアルバムだと思ってました。

こういう自らの失態を正直に告白できるところが僕の美点だと思います(他人の作ったものにライドしながら強烈に発露させる自己愛)。

 

前編はだいたいこんな感じでーす。

明日の後編はただの漫画オタクの情熱が数千字連なるだけの地獄です。震えて待て!!