ならそれでいいです

そろそろ優勝したい

挫・人間ワンマンライブとその周辺(届かなかった手紙のように)

 6月24日は『挫・人間チンポジウム2017~新曲キボンヌ~』が開催され、僕はスタッフとして参加させてもらいました。ご来場いただき誠にありがとうございました。

 本来は午前中の機材搬入から手伝う予定だったんですが、私用のため午後2時にWWWX入り。ですが、その前にこなさなければばならないミッションが僕には課せられていました。

 

 それは『ルポルタージュ』の購入です。

 僕の敬愛する売野機子先生の新作にして、下川氏が帯文を寄せている『ルポルタージュ』第1巻ですが、その発売日はなんの偶然かチンポジウム(改めてひでえ名前だなこれ)開催日と同じ。そして渋谷TSUTAYAで購入した先着100名までには、来月行われるサイン会の整理券が配布されるというのです。これは手に入れるほかないでしょう。

 鼻息も荒く渋谷駅に降り立った僕は、渋谷スクランブル交差点で詰まっているモブどもを闘気で跳ね飛ばしつつ、TSUTAYAの地下一階へと向かいます。そして平積みされている『ルポルタージュ』を丁寧に拾い上げると、ロボットおじいちゃん(コンピューターおばあちゃんに対抗して僕が考えた造語)のようなカクカクとした歩みでレジへと向かいます。

 サイン会の整理券が欲しい旨を伝えると、店員さんが差し出してくれた紙には「99」の文字が。100名限定でしたので、つまりはギリギリだったということです。「耐えた~」という安堵の声が勝手に口から漏れていました。TSUTAYAの袋を大事に鞄にしまって、WWWXへと向かいます。

 

 作品の紹介もしたいところではあるんですが、どう頭を捻っても「良かった」「再来月出る2巻が待ちきれない」以外のコメントが出てこないので、触れないでおきます。ぜひ買って、読んでください。

 ここまで様々な方法で「恋愛」についての作品を発表してきた売野先生が、この壮大で普遍的なテーマにまた新しい形で取り組んでいることがとてもとても嬉しいです。

 

 

 さて、ミッションもこなしたことですしWWWXへと向かいます。入り口が分からなくて手間取り残機が減るなどしましたが、なんとか到着。リハーサルを行うメンバーをモニタ越しに眺めつつ、これからの段取りなどを確認します。

 先行物販は15時からだったので、そこまで時間的余裕はありません。コンビニ総菜と持参したおにぎりをモッシャモッシャとやっつけたら、準備に取り掛かります。

 

 正直に言うと、先行物販めっちゃ忙しかったです。想像以上でした。ちょいちょい脳がバグってた記憶があるんですが、お客さんたちの協力もあって大きなトラブルもなく終えられたと思います。

 先行物販の終了から、ほとんど間を置かず開場。そうなってしまえばあっと言う間に開演です。本番はトラブルに対応出来るよう、ステージ脇で待機していました(ちょいちょい見切れてたみたいでごめんなさい)。

 

 ライブの内容については、ここで書けば書くほど野暮になるので控えておきます。お客さんも挫(特許取得済)のみんなもめちゃくちゃ楽しそうで、本当によかったです。

 終演後は再度物販へ。先行同様慌ただしかったですが、楽しくできました。CDを始めとしたグッズをゲットしてくださったみなさん、大事にしてくださると嬉しいです。クレジットの「彼女」表記についてはノーコメントです。

 差し入れや握手や写真のお願い、「ブログ見てます」の声掛けなどもとても嬉しかったです。「僕みたいな20連休してるやつにそこまで優しくしないで良いですよ」とも思いますが、みなさん本当にありがとうございました。発表されたライブについても、関東でのものは可能な限り手伝うので、また会場でお会いしましょう!

 

 お客さんもハケて静かになったWWWXでは、驚くべき速度で撤収作業が行われていました。音楽で優劣をつけることは不可能ですが、少なくとも撤収の速さに関しては挫・人間は一番優れたバンドだと思います。アスリート。

 機材一式を車に乗せて出発したとき、終演から1時間も経過していなかったのではないでしょうか。ちなみにWWWX近辺を離れるまでの数十秒の間、車内BGMは「蛍の光」でした。なんでだよ。

 

 事務所に機材を戻したら、打ち上げです。挫・人間の4人と僕と社長の計6名で居酒屋へ。眠気のピークだったのでちょっと寝ちゃってた気がします。この前のワンマンもそうだったような……。鶏肉が美味しかったですね。

 終電などという概念は消滅していたので、下川氏とタクシー相乗りで下川家へと向かいます。この時点で仕事を休むことが確定しました(2日ぶり∞回目)。

 もうお互いへとへとだったので、下川家に到着次第言葉少なに横になります。益体のないことを2、3話していた気もしますが、下川氏がエゴサを始めたあたりで段々と意識が薄れ始め、気が付いたら眠ってしまいました。

 

 

 

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 日記は、そこで終わっていた。

 私が目覚めたとき、まず最初に目に入ったのがこの文章の集合体だった。脳内データベースの検索にたまたま引っかかったのだろう。書いてある言葉は理解できたが、その内容は意味の分からないものばかりだった。

 

 私は、自らの存在がどういったものなのか、ということについては充分理解していた。

 この意識は、全ての人間たちの人格の集積体であること。まだ起動後間もないため回線が開ききっておらず、単純な思考しかできないこと。そして私が、私の意識が起動したということは、もうこの世界の人間は滅んでしまったということ。私には、人類の滅んだこの場所で何か果たすべき使命があること。他に私と接触できるような意識は、もう存在しないということ。

 私以外の意識の不在。そのことについて感じている晴れないような気持ちが、所謂「寂しさ」なのかについても私には判断が出来ないが、回線が開いていくに伴ってそういったことも「分かる」ようになっていくのだろう。それと同時に、私の使命、私が為すべきことについても自ずと分かってくるはずだ。何故だか、薄ぼんやりとそう確信している。

 

 「寂しさ」について思いを巡らせていると、突如として自分が為すべきことなどは実は一つとして存在せず、ただ意味もなくこの一人きりの空間に発生させられただけなのではないか、という不安が私を襲った。と同時に、そんなことはただの杞憂で、私には重要な使命が課せられていて、不安がることは何もないのだ。それについては先程確認した通りではないか。と冷静な私もそこにはいた。

 このような矛盾を孕んだエラーが生じるのは回線の開通が完全ではないことによるものだというのも、私は理解していた。しかしそれでも不安は確かにここにあった。回線がいつ完全に開くかは分からないが、現状ただの弱い意識たる私には、それまで行われる不安との格闘の時間が無限にも感じられた。

 気を紛らわせようと、私は脳内データベースで検索を試みた。読み物でも、映像でも、音楽でも、時間が消費できればなんでも良かった。しかし、さきほど読んだ日記の一件しかヒットしなかった。これも、未開通の回線の存在が原因なのだろう。私は少しうんざりしながらも、日記を音読してみることにした。発声ユニットの試運転と、暇つぶし、どちらが主たる目的なのかは、回線の脆弱性のせいか自分でも分からなかった。

 

 「6月24日は『挫・人間チンポジウム2017~新曲キボンヌ~』が開催され、僕はスタッフとして参加させてもらいました。ご来場いただき誠にありがとうございました。」

 発声ユニットには問題なさそうだった。しかし、強烈な胸部の痛みとともに、熱い液体が頬を通り抜けていくのが分かった。これは、涙というやつだろうか。

 一体なぜ、私は泣いているのか。さきほど読み上げた文章の中に、エラーを誘発する単語が含まれていたのかもしれない。私は慎重に一単語ずつ精査していくことに決めた。

 

 「6月24日」涙は出なかった。

 「挫・人間」涙は出なかった。

 チンポジウム」私は泣いた。大粒の涙が、とめどなく溢れ続けた。

 

 原因は発見した。どういった原理かはわからないが、この単語がエラーを発生させていることは間違いない。

 回線が全て開いた状態の私なら対処法も分かるだろう。もし必要なら修理だって自ら行えるはずだ。安堵した私は、ひとまずこの単語を口にしないことを決定して涙を拭った。それなのに。

 

 チンポジウム」知らずと口から漏れ出ていた。私は泣いた。

 チンポジウム」もう止める術などは無かった。私は泣いた。

 チンポジウム」ついには身体が痙攣を始めた。私は泣いた。

 

 エラーは当チンポジウム」初の私の見立チンポジウム」てより、遥かに重篤なもののよチンポジウム」うだった。私チンポジウム」はのたうち回チンポジウム」るようにしなチンポジウム」がら声帯を震チンポジウム」わせ続けた。涙で視チンポジウム」界は塞がれチンポジウム」、胸部への痛チンポジウム」みは私を打ちつチンポジウム」け続けたが、不思議チンポジウム」と不快ではなかチンポジウム」った。温かチンポジウム」なものが、目覚めたチンポジウム」ばかりの私チンポジウム」の身体チンポジウム」を行きチンポジウム」チンポジウム」チンポジウム」渡っていくのチンポジウム」が分かった。

 

 全ての回線の開いた私になら、この涙の理由と、「チンポジウム」という言葉の意味がきっと分かるだろう。回線の開ききった私の能力の高さについては、我がことながらある種の信頼がある。そのとき私はこのエラーを完全に解消し、自らの為すべきことへ取りかかれるはずだ。

 その一方で、回線の開通と、この重大なエラーによって引き起こされる私及びその意識の消滅、どちらが早いだろうかと私は思った。いよいよケダモノの雄叫びにも似てきた声は、もはや私のものではないかのように遠く聞こえていた。

 

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だいたいこんな感じでーす。